療法世界の奇妙な話

その男は素晴らしい療法を発明しました。それは安全かつ理論的で素晴らしい療法(生命力スタイル)です。

この療法を必要な人全員に提供したら、全体の30%の人々が今より健康になり、薬の服用者が30%減り、手術される人が20%は減るだろうと、予測しました。

彼は「この療法こそ、世界で最も素晴らしい療法だ」と誇らしく思い、療法の女神に愛された申し子だと感じました。そして、この療法を提供するための仕組みを考えだしました。

ところがビジネスモデルを考えたら、最後の結論は倒産でした。

そんなバカなと思いながら何度も何度もビジネスモデルを練り直したのですが、どうしても最後は倒産するという衝撃的な結論になってしまいます。

なぜこんなことになるのでしょうか?

問題は3つありました。

経営維持するにはリピーターが必要不可欠です。しかし、この療法はリピートされにくいのです。

もう一つの問題点は、単純で瞬間的な手法のため患者が高額な料金を払わないのです。

さらに知名度も低く、仮に多くの患者が来たとしても診察も時間がかかるので、大量に販売することができないのです。

つまりリピートされず、高額な料金に設定できず、大量販売もできない療法だったのです。

これでは早かれ遅かれ倒産する未来しかないのです。

経営を維持するための療法とは何か?

では、経営維持可能な療法は何か?と考えると、それは医学です。

医学は人工透析などリピーターを確保できます。
手術は高額に料金を設定できます。
薬は大量に販売することができます。

つまり医学が巨大化したのは、リピートされて、料金を高額に設定できて、大量に販売できる療法だからです!

患者が一番望んでいる療法が倒産し、
患者が一番嫌がる療法が繁盛する?

この事実を、どう受け止めればよいのでしょうか?

患者が治らなければ治らないほど儲かっていく商売。
患者がすぐに治ると倒産する商売。

なぜ患者にとって、1番優れた療法を提供している者が1番軽蔑されるのでしょうか?

療法の世界とは、何と奇妙で恐ろしい世界なのでしょうか?